オーダーCSB オーナー様×シナクラ対談
今回はCSBオーダー品のご紹介です。
コインオーナーであるAY様にご協力いただきCSBオーダーの構成やコンセプトについてご説明いただきましたので、オーナー様とシナクラの対談形式でオーダーから完成までご覧下さい。
こちらが今回のオーダー品の構成コインになります。

左から
SOL(brass)
Kina(Nickel)
カンガルー銅貨(cupper)
シナノクラフト(以下シ):それでは、オーナー様に本ギミックのコンセプトについてご説明していただきます。
コインオーナー(以下オ):吟古さんはじめまして。
この度は難解なオーダーを見事な芸術作品にして頂き本当にありがとうございました。
日本で一般的にスリーコイントリックと呼ばれるこちらのギミックは非常にビジュアルでコインマジックの中でも明快な現象の一つであると思います。
こちらをハーフダラーのサイズではなく、大きなコインで演じたいと思ったのが、事の発端です。しかしながらクロースアップでカップなどを使う私の手順にややワンダラーでは大きすぎるかなと。一般的ではないですが直径33mmのコインを使う事で、その点良い塩梅にできたらなぁと。自由にオーダーできるシナノクラフトにちょうどその頃巡り会いました。
恐らく直径か何かコイン関係の調べ物をしている時にシナクラのショップサイトを見つけ、このすごいサイトは何だ!?と興奮した記憶があります。他のサイトには無い豊富な知識量とオーラに心奪われました。
すぐさまオーダーのビジョンを描き材料となるコインの収集に走った記憶があります。
シ:それにしても見事な構成ですね。このお話をいただいた時は‘こ、これは!’と思いました。
コインの選定には相当ご苦労されたのでは?
オ:そうですね。ニューギニアの穴あきコインを見つけたのが奇跡とも言えるかも知れません。もともとコインマジックに加えコインの収集も好きだったのですが、デザイン目当てで購入したこのコインがハーフダラーより一回り大きく手にした感触も重みもマジックに適した物であったのが何よりでしたね。
最初はギミックに使おうなんて思いもしなかったのですが、スペルバウンドなんかに使ううちに穴も開いているしCSBにしてみようかな。と
同じ大きさで銅貨でもなく、銀貨でもなく・・・とビジュアル的に相反するコインをネットオークションでひたすら探す日々でしたね。
結局最後の最後まで手に入れるのが大変だったのはこの穴あきコインのkinaでしたけどね。
どうやらプルーフのkinaは記念硬貨だったらしく、プラケース入りのコインセットをいくつか買いました。本来は飾っておくものなのか、プラケースが開けられないんですよ。コインを取り出す出す為に割りました(笑)
シ:オーダーにあたりご要望をいただきましたが、完成ギミックにはどうのようなイメージをお持ちでしたか?
オ:オーダーにあたり可能であればどうしてもお願いしたかったポイントが、
一点インナーコインの厚みでした。
一般的なこの手のコインはインナーコインがやけに薄く手順の中で観客に妙な違和感を持たれてしまう所にありました。ハーフダラーの構成だとセンタボという銅貨が他のコインに比べて分厚く素材自体の問題と言うのもあるのですけどね。
この点ペニーは比較的薄いので極めて自然に見えるのではと思い、レギュラーとインナーコインの厚みが同一になるよう、シェルをやや深めに削ってもらう点を重要視してもらいました。
シ:シェルを深めに削るのは問題ありませんでした。ただ、通常のシェルと違ってキメラタイプのシェルのため着脱性と強度を兼ね備えた上でシェルを深めに加工するのは難易度が高かったですね。
シ:実はCSBの設計で一番難しいところは、DFやシェルの厚みや比率をどのくらいにするか?です。
CSBはDFタイプなので、厚みの設定には自由度がありますが、観客に見せるときにそれぞれの状態において違和感のないかつ存在感のある状態にするために上手く設定しなければなりません。これがなかなか難しいんです。我々もある程度経験値がありますが、コインの構成や演技、テクニック、演者の思想によって条件が変わります。しかもほとんどが1トライなので、0.1mmのビジュアルインパクトを真剣に考えています。難しい作業ですが、これによって、ビジュアル、ハンドリング性において、少しでも演者のストレス軽減にはなれば良いと考えています。
シ:今回のギミックは違和感を感じないレベルで各コイン状態の厚みを調整し、さらにkinaのプルーフを大胆に利用することで、各コイン状態を‘どうだ!’といわんばかりに堂々と見せることができるようになったと思います。もちろんテクニックも必要ですが、オーナー様にはそのような心配はなかったので、上手くテクニックとギミックが融合できたと思います。。
オ:実際オーダーにあたり加工的観点や強度的な面で技術的に実現可能な範囲かオーダー側としてはこの時点では不安だったのですけどね・・・
逆に吟古さんより頂いたお返事には、「シェルの配分で良いアイディアがあるんですが・・・」とお返事をいただき「へっ?そんな事も?」と想像を超えるギミックコインへの一歩が踏み出された訳であります。
吟古さんのコメントにあるようにプルーフの極めて高い反射率を利用し裏面が黄銅貨であるという特性も考慮にいれた上で、ブラスコインを薄く削りブラス面のsolが観客目に映る時、ギミックの継ぎ目が反射でぼやけるようプルーフのkinaに手のひらの色を反射させるのはどうでしょうか?
よってsolがより自然に見えるようになりますよとアドバイス下さいました。
私の手順ではギミックが一体化している時間が少ないので、その瞬間すらもギミックが自然に見えると言うのは非常に魅力的で今回の吟古さんのアイディアは私の手順そして思惑にベストマッチでしたね!
シ:オーダーにあたり、いろいろとアイディアや要望をつめましたが、実際に手にされてみていかがでしたか?
手にしたコインはまさに理想のコインでもあり、私の想像を遥かに超えた素晴らしい出来でした。吟古さんおっしゃるコインの各状態どこから見てもギミックの違和感は無く全てがレギュラーの様に見えるので安心して手順に集中することができますね。
ギミックコインは工作機械で加工する事から、よーく見ると機械や刃物によって力が加わった時にコインが膨らんだりヒケたりしてレリーフに妙な違和感が生まれてしまうコインもありますが、シナノクラフトはこの点も非常にお強いようで、今回の穴あきコインもひずみが生まれておらずビックリしました。
穴が空いてる分強度的にも弱く、シェルにした時にどうなるかも心配だったのですけど。
機能面操作性も去ることながら、シナノクラフト監修のコインは見た目の自然さにおいても非常にクォリティの高いを誇っていますね。
シ:オーナー様仕様としてギミックに個性をもたせる!これぞシナクラが目指しているものです。今後もオンリーワンギミックを楽しみにしています。ありがとうございました。
スポンサーサイト